2016.04.01

企業内人材育成推進助成金を会社設立前後に活用しよう

企業内人材育成推進助成金

会社設立前後に、一緒に働いてくれる良い人材をいかに確保するか、そしてその人材の能力と意欲をいかに高めていくか。これは経営者にとって大きな課題の一つです。

人材確保に関して言えば、私は会社設立当初は2種類の求人サイトにアルバイトの求人広告を出したのですが、サイトによって、応募してくる人材のレベルが大きく異なることに驚きました。今は、優れた人材を確保するために、レベルの高い1つのサイトに絞り、応募者20~30人のうち1人位を雇うという贅沢な選抜を行っています。そんな採用方針をずっと貫いているため、逆に人手が足りなくて困る状況に陥ることも、稀にあります。

そんなときに大いに活用すべきなのが、厚生労働省の助成金です。正確には『企業内人材育成促進助成金』といいます。私は会社設立当初は助成金や補助金の存在を全く知らず、苦労しましたが、現在、新規事業を開始に向け、この助成金の導入準備中です。そこで今回は、『企業内人材育成促進助成金』の適用要件や概要について、紹介をしていきたいと思います。

 

1.企業内人材育成促進助成金の目的とは

厚生労働省によりますと、当助成金の目的は、「市場のグローバル化、IT技術の変化などによる事業活動の新陳代謝スピードの早まり、事業活動の先行きの不確実性の高まり」などの環境変化や、「成果主義的な要素を取り込んだ処遇制度や、長期雇用以外の雇用形態の導入」などの雇用管理の変化に対し、企業が「人材育成を積極的に実施し、個々の従業員の職業能力やモチベーションを高め、生産性を向上させ」、企業を永続的に発展・成長させることにあるそうです。

ざっくり言うと、従業員の技能・意欲を向上させる措置を企業内に作ることで、生産性を高めるというものです。適用できる技能については、製造業に関するものが多いのですが、ウェブ・デザインなどのIT技術に関しては、ほとんど全ての事業が多かれ少なかれ関わることだと思います。従って、多くの企業が申請できると思います。

 

 

2.企業内人材育成促進助成金の制度概要

当助成金には内容や適用方法によって様々な種類のものがあるのですが、大きく3種に分類できます。その種類と、助成金額を下に記しました。これら3種の制度は組み合わせて利用することも可能です。

※以下に記した金額は中小企業に対する金額です。中小企業以外の場合はそれぞれ半額となります。また、適用人数の上限はそれぞれ10人となります。

 

『教育訓練・職業能力評価制度助成』

  • 制度導入助成:50万円 
  • 実施助成:(制度を適用した労働者1人当たり)5万円 

 

『キャリア・コンサルティング助成制度』

  • 制度導入助成:30万円
  • 実施助成:(適用労働者1人当たり)5万円 
  • キャリア・コンサルタント育成助成:(育成1人当たり)15万円 

 

『技能検定合格報奨金制度助成』

  • 制度導入助成:20万円 
  • 実施助成:(適用労働者1人あたり)5万円

制度導入にあたっては、多くの書類を作成したり、責任者を置いたりする必要があり、人件費などの経費がかかりますが、それらは導入助成金をあてがうことができます。更に、従業員の能力が評価されたり(※自社内評価でいいのです)、検定試験に合格したりすると、1人当たり上記の金額が助成されるので、従業員の能力もやる気も向上します。

 

 

3.企業内人材育成促進助成金の受給要件

助成金に関しては、とにかく書類作成が大変です。これらの計画書以外に、各種助成金に関しても多くの関連書類の作成・提出が必要となるので、その点に関しては十分に認識しておく必要があります。

しかし、給付してもらえる以上当然の義務であると私は考えます。また、これらの書類を作ることで、社内での計画も整えられるので、事業を進める上でも非常に役に立ちます。

細かい要件は色々ありますが、メインとなるのは次の3点です。

 

(1)雇用保険適用事業所の事業主であり、適用労働者が雇用保険被保険者であること

雇用保険に入っていない方は、加入手続をする必要があります。雇用保険に関して事業主等が支払う金額は、健康保険や厚生年金等と比較すると非常に低額です。

 

(2)制度導入・適用計画書の作成 

労働局(ハローワーク)に行けば、計画書について教えてもらえますので、それに基づいて作成し、提出します。一度提出すれば、3年間使えます。例えば、初年度に1人適用し、翌年度に3人適用し、翌々年後に2人適用する場合も、最初の1回提出で済みます。

 

(3)事業内職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の作成

人材的に余裕がある場合には、職業能力開発推進者、つまり、人材育成の責任者を選任してください。人材的に余裕がないときは、事業主が責任者になればいいです。また、適用計画書と同様に、労働局で開発計画書について教えてもらい、作成して提出する必要があります。

 

 

4.教育訓練・職業能力評価制度助成

(A)教育訓練制度について

従業員の仕事スキルをアップするための講習費を助成金として出してもらえる制度です。例えば、従業員が簿記を学びに専門スクールに通う場合、その受講料を申請できます。ただし、講習時間が20時間以上のでなければならず、また、ビデオ講座等は該当しないので、ご注意ください。『人材助成金』に関する各種書類に加え、教育訓練制度に関する規約、計画書、ジョブカード(進捗状況や評価を書いたもの)などの書類等を、別途作成する必要があります。

 

(B)職業能力評価制度について

従業員の仕事に関する各種技能を細分化して規定し、それを一定の基準に従って評価する制度で、制度導入にかかる費用を助成してもらえます。従業員の労働意欲を高め、適切に評価することで、生産性を高めることが目的です。

 

 

5.『キャリア・コンサルティング助成制度』

まず、要件として自社内に、有資格者であるキャリア・コンサルタントを育成する必要があります。資格を得るためには、規定の試験に合格するか、あるいは養成講座を受講する必要があります。この資格獲得に関する費用も助成金から拠出することが可能です。

キャリア・コンサルタントが育成できたら、従業員がコンサルタントと、各々のキャリアに関して話し合いを行い、その内容及び評価をジョブカードやキャリアプランシートなどの書類に作成していきます。この作業を通じて、従業員の仕事に対する主体性を向上させ、再就職支援や休業者などの復帰を円滑にすることが可能となります。これらのコンサルティングに係る費用が助成金から出すことができます。

 

 

6.『技能検定合格報奨金制度』

これは名前の通り、従業員に技能検定試験を受験させ、合格者に報奨金を支給する制度です。検定試験の内容としては、建設・土石・金属加工・機械・電気・食品・衣類・木材・プラスチック製品など、製造業の技能に関するものが多いのですが、ウェブ・デザイン、前述のキャリア・コンサルティング、知的財産管理などは、多くの企業に該当すると思います。

 

まとめ

企業内人材育成推進助成金の魅力は、制度を導入するだけで、まとまった金額の助成金を交付してもらえることです。スタートアップ時や、新規事業開始時において、従業員に様々な技術を身につけてほしいと考えている方は、是非とも導入をご検討ください。

働いてくれている人々の能力とやる気を高め、生産性を向上させ、好循環を形成するための大きな支えとなります!

 

私の設立体験談

会社設立当初はどうしていいかわからず、悩んだ末に思いついた解決策は、「そういえば、この近辺には10以上の塾が密集している(※私は塾を経営しています)。近隣の塾に人手が余っているかもしれない、頼んで貸してもらおう!

というものでした。ダメ元で何でもやろうという意気込み、隣のビルの塾に駆け込み、「一人良い人材を貸してください!」と頼みました。その結果どうなったか?その塾長様が、快く良い人材を紹介してくださり、数カ月間当社で出張で働いてもらえました。本当にありがたいことです。もちろん、その後、お礼をしました。

そのようにして何とか人材を確保した後、次に困ることが待ち構えています。彼ら彼女らの意欲や技能を高めることです。講師の人たちはもともと極めて優秀な人のみを雇っているから大丈夫なのですが、事務系の仕事が大変でした。

テキスト作成等でイラストレーターやフォトショップなどのソフトを導入したのですが、誰もやり方がわからない・・・。そこで、最初に知り合いからざっくりと概要を15分で教えてもらい、その後はネットで検索したりユーチューブの動画解説を見たりしながら、アルバイトの人に教えつつ教わりつつしながら、少しずつ覚えていきました。

講習等を受ければ効率良く必要知識を習得することができるのかもしれませんが、お金がかかります。特に、会社設立当初や新規事業着手時においては、資金繰りという観点から考えると大変です。そんなときに企業内人材育成推進助成金が役立ちました。

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