2016.03.16

設立時の資本金を現物出資する方法と流れ

資本金の現物出資

会社設立を行う場合に、発起人(会社設立でお金を出す人)は資本金を現金で銀行などに振り込むのが一般的ですが、資本金は現金だけではなく、不動産や知的財産、債権、株式などの金銭以外の財産を出資を行うことも可能です。これを現物出資といいます。

  • 現物出資とは:不動産や知的財産、債権、株式などの金銭以外の財産を出資することをいう
  • 財産引受とは:会社設立の条件として第三者から特定の財産を譲り受ける契約をいう

このページでは会社設立時の資本金を現物出資するまでの流れと方法について記載しています。

500万円未満の現物出資の流れと方法は以下の通りです。

現物出資の流れ

500万円以上の現物出資を行う場合は専門家に相談をしておきましょう。

【目次】
1.現物出資の注意点について
・現物出資は個人事業からの法人成りに多い
・現物出資の消費税について
2.資本金の現物出資のルール(規制)について
・現物出資と財産引受の総額が500万円未満は調査不必要
・市場価格のある有価証券は調査不必要
・資格者の証明を受けた場合には調査不必要
3.現物出資できる財産例
4.設立時の定款に記載する事項
・現物出資の場合の記載例
・財産引受の場合の記載例
5.財産引継書を作成について
6.調査報告書の作成について

 

1.現物出資の注意点について

一般的の会社設立時に現物出資はあまり行われていません。なぜならば、出資する現物の評価額を決めなければならないからです。出資する評価額に関しては、知識がない場合は定めるのは容易ではありません。そのため税理士などの専門家に相談して決めるのが一般的です。(不動産であれば不動産鑑定士の依頼が必要な場合もあります。)

現物を過大評価してしまった場合に、発起人と設立時取締役は不足している分の金額の連帯して支払う責任を負いますので自分で会社設立を行う場合は注意しましょう。

 

現物出資は個人事業からの法人成りに多い

現物出資の場合は基本的に個人事業を営んでいた場合に車やパソコン等を現物出資として行うケースが多く、総額が500万円未満であれば検査役が不必要なので、定款にだけ記載しておきましょう。

 

現物出資の消費税について

不動産などの価額が大きいものについては消費税の課税対象となりますので、注意が必要です。

消費税法上、現物出資については、消費税法施行令第2条2項に「金銭以外の資産の出資」について資産の譲渡等に類する行為に該当すると定められており、この場合の課税標準額は、「その出資により取得する株式の取得の時における価額に相当する金額」(同法令45条2項3、同法基本通達11-4-1)となります。

資産を譲渡して株式を取得するため、株式の価額が課税標準となります。そのため、取得した株式の価額のうち課税対象取引に対応する部分については消費税の課税対象となります。 

 

 

2.資本金の現物出資のルール(規制)について

現物出資のルール

現物出資や財産引受は「変態設立事項」という名前で呼ばれ、特別なルール(規制)があります。規制がある理由としては、会社が適正な価格で財産価値を判断しなければ、株主等に不公平が生じるからです。

  • 現物出資を定款に定める
  • 現物出資は発起人のみが出資できる
  • 裁判所が選任する第三者に適正な価格か調査が必要になる

現物出資には上記のようなルールが存在しますが、第三者の適正な調査(検査役)が必須ですが、以下の場合は例外となります。

 

現物出資と財産引受の総額が500万円未満は調査不必要

現物出資での評価価格と財産引受の評価価格をたして500万円を超えなければ、検査役の調査は不必要となります。

これは、評価した財産が適正な価格を下回っていたとしても、発起人が責任を負うことができる範囲内であろうということから、500万円を超えない価格となっています。

現物出資財産等の定款に記載された価格が著しく不足する場合は、発起人および設立時取締役は会社に対して連帯して不足額を支払義務を負います。これを発起人のてん補責任といいます。

 

市場価格のある有価証券は調査不必要

市場価格のある有価証券は価格が決まっているので、検査役の調査は不要となります。店頭で販売されている有価証券にも、もちろん適用されます。(算定方法は法務省令によります。)

 

資格者の証明を受けた場合には調査不必要

有資格者の評価には信頼性が認められるとされ、以下の資格者の証明があれば、検査役の調査は不要となります。

  • 弁護士・弁護士法人
  • 公認会計士(外国公認会計士含む)
  • 監査法人
  • 税理士・税理士法人
  • 不動産鑑定士

※現物出資等が不動産の場合は不動産鑑定士の証明が必要となります。

 

上記の例外に該当しない場合で現物出資に検査役が必要な場合には、発起人は定款認証後すみやかに地方裁判所に選任を申し立てる必要があります。その後選任された検査役が調査を行い裁判所に報告をする流れとなります。

 

 

3.現物出資できる財産例

現物出資できるのもの例では以下のようなものが当てはまります。

  • 不動産(自己所有のもの)
  • 有価証券(国際・社債・株券)
  • 機械関係(機械設備)
  • パソコン
  • 自動車・バイク・自転車
  • 特許権・営業権(知的財産権)
  • 製品(仕掛品や原材料)
  • コピー機(FAX)・オフィス家具
  • ホームページ等

上記のようなものが、現物出資の対象となります。仮に、資本金が200万円の場合、「100万円は現金、後は車とパソコンを出資する」としても良いのです。

 

 

4.設立時の定款に記載する事項

現物出資と財産引受の場合には定款に記載するべき事項が存在します。

 

現物出資の場合の記載例

  • 出資者の氏名・名称
  • その財産および価格
  • 出資者に割り当てる設立時発行株式数

現物出資の場合は上記を定款に記載します。例は以下の通りです。

【現物出資の定款記載例】
第●条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。
(1) 出資者 発起人 ●●●●●
(2) 出資財産及びその価額
  パーソナルコンピューター(○○株式会社平成19年製、FH-RARUGO、製造番号○○○)1台
  金20万円
(3) 割り当てる株式の数
  20株

 

財産引受の場合の記載例

  • その財産および価格
  • 譲渡人の氏名・名称

財産引受の場合は上記を定款に記載します。また定款への記載例は以下の通りです。

【財産引受の定款記載例】
第●条 発起人●●●●●●は、●個人名または法人名●との間で、当会社の成立を条件として、次の財産を譲り受ける契約を締結した。
(1) 目的財産及びその価額
東京都千代田区●丁目●番●号に所持する土地
価額●●●●●●万円
(2) 譲渡人の氏名 ●個人名または法人名●

記載をして定款作成後、定款認証を行います。

 

 

5.財産引継書を作成について

 設立時発行株式の引き受け後延滞なく現物出資の目的となっている財産の給付をしなければなりません。また、現物出資の財産の給付があった場合は財産引継書を作成してこれを設立登記申請書の添付資料「検査役又は設立時取締役の調査報告書の付属書類」の一部として用意する必要があります。

※発起人全員の同意がある場合は、登記・登録その他権利の設定や移転(第三者に対抗するための必要な行為)は、会社の成立後にすることも可能です。

財産引継書

  1 現物出資財産等及びその価格

     普通乗用車 エスティマ 平成●●年式
     車台番号  AP-000-00000
     この価額  金100万円

 

  私所有の上記財産を現物出資財産として給付します。
     平成●●年●月●日
     東京都千代田区●丁目●番●号
 発起人 ●●●●●●  印

       株式会社スタピ 発起人御中

 

 

6.調査報告書の作成について

定款に記載された価額が相当であることを確認し、設立時取締役が調査報告書を作成します。

この調査報告書は、設立登記申請書の添付資料になるので注意してください。以下調査報告書の記載例になります。

調査報告書

平成●年●月●日●●●●株式会社の設立時取締役及び設立時監査役に選任され、会社法第46条の規定に基づいて下記事項を調査した。その結果は次のとおりである。

(1)会社の設立時発行株式の総数のうち、現物出資による100株を除く200株につき、平成●●年●月●●日までに設立時発行株式の全部につき出資の履行が完了していることは、●●銀行●●支店の払込証明書により認められる。

(2)発起人●●●●●●●●●の現物出資について、その現物出資財産の給付があったことは、平成●●年●月●●日付別紙財産引継書により認められる。また、現物出資の目的財産は、会社法第33条10項3号の場合に該当し、定款に定めた価格は相当であると認められる。

(3)会社設立に際し、会社設立後に譲り受けることを約した財産の定めはない。

(4)発起人が引き受けるべき特別の利益、会社の負担に期すべき設立費用、発起人が受けるべき報酬の定めはない。

(5)会社設立に関する手続が法令又は定款に違反していないことを認める。

上記のとおり会社法の規定に従い報告する。

 

平成●●年●月●●日

株式会社●●●●

設立時取締役 ●●●●●●●●●●●●●●● 実印
設立時取締役 ●●●●●●●●●●●●●●● 実印

 

まとめ

会社設立時の現物出資は500万円未満であれば、そこまで繁雑な手続きが不要のため、メリットは大きいと言えるでしょう。ただ、500万円を超える現物出資に関しては、専門家に相談・確認をすることをお勧めいたします。

SNSで最新情報をチェック

 

ツイッター
Googleプラス
Feedly

 

会社設立の12つの準備項目

株式会社設立の準備

株式会社設立の準備項目は、定款の内容を決定していくことから始まります。専門家に相談しながら決めても可能ですし、自身でチェックして以下の項目を決めていけば、株式会社設立時の定款の作成時に役立ちます。株式会社設立の準備項目の詳細すべては「株式会社設立の準備」を確認してください。

よく読まれている関連記事