2016.01.20

後で後悔しない役員報酬での金額の決め方6つの注意

役員報酬での金額の決め方

役員報酬とは、会社設立を行った場合に会社は役員(経営者等)にも給与を払わなければなりません。この役員に支払う給与のことを役員報酬といいます。社長(代表取締役)は役員になりますので、役員報酬ということです。

では、役員報酬はどのように決めていくのでしょうか。いくら役員報酬として給与を貰う(または渡す)のが適正なのでしょうか。1つ1つ考えていきましょう。

役員報酬決定のポイント

【目次】
1.企業の役員報酬の平均金額とは
2.役員報酬のルールについて
3.どうやって決める?役員報酬
・自分の希望金額から役員報酬を決める
・会社の売上、利益の計画から決めていく
4.役員報酬の金額で納税額が変わる
5.役員報酬の金額の注意点
・融資の際に銀行に必ず見られる
・役員報酬が高ければ、税金(社会保険料)も高い
・役員報酬が少なければ(0円とか)社会保険に入れない
・期中の値上げも損金不算入(経費に入らない)となる
・金額が高すぎると否認される可能性あり
・みなし役員には注意が必要
6.役員報酬の手続きに関して
・定期同額給与(役員報酬)
・事前確定届出給与(役員の賞与)
・届出せずに給与を渡した場合
・期中に役員報酬は増額できないの?
・期中に役員報酬は減額できないの?

 

1.企業の役員報酬の平均金額とは

以下は、少し古いですが国税庁の役員報酬データ(平成25年度)です。

企業規模(資本金) 年間の役員報酬平均 月間の役員報酬平均
資本金2,000万円未満 年間543万円 月間約45万円
2,000万円超から5,000万円未満 年間752万円 月間約62万円
5,000万円超から1億円未満 年間1,037万円 月間約86万円
全体平均 年間613万円 月間約51万円

 

もちろん、これだけで役員報酬の金額を決めるべきではありませんが、平均を知っておきましょう。(従業員数だけでいうと、従業員が300名以上の会社の役員報酬平均は年間4,000万円を超えてきます。夢がある話ですね。)

 

 

2.役員報酬のルールについて

役員報酬は法人税法というもので決められたルールが存在します。まずは役員報酬の金額を決める前に内容を確認していきましょう。

  • 事業開始日から3ヶ月以内に役員報酬を確定する必要がある
  • 役員報酬の金額は自由(0円でも構わない)
  • 基本的には1年間は毎月同じ一定の金額である必要がある
  • 一度決めた役員報酬の変更は1事業年度に1年だけである

このように、役員報酬にはルールがあり、ご存じない方は、まずはルールの確認を行っておきましょう。また、1事業年度に1年だけである役員報酬の変更は、事業年度終了後3ヶ月以内に変更を行う必要があります。(例:3月決算であれば6月末まで)

 

役員報酬は会社の経費として認められる

上記で説明したルールと事前に届け出を出すことで会社の経費(損金)として認められます。もし、ルールを逸脱してしまうと、損金不算入(経費として認めらないこと)になってしまいます

 

 

3.どうやって決める?役員報酬

役員報酬を考えなしに「適当に決める」ことは絶対にやめておきましょう。経営で苦労する一つの要因になりかねません。では、どのように役員報酬を決めるのが適正なのでしょうか。

一般的には2つのパターンから決めていきます。

  • 自分の希望額(生活費)から役員報酬を決める
  • 会社の売上、利益の計画から決めていく 

シンプルに考えるため、2つのパターンで説明していきます。

 

自分の希望金額から役員報酬を決める

こちらの方法はなるべく役員報酬を取りたくない場合や、売上・利益計画の見通しが不安定な場合は、希望金額で役員報酬を決めていきます。

この希望金額の考え方は2つの方法で考えます。

  • 最低限ほしい希望金額(月/年間)
  • 社長(役員)は「これぐらいほしい」の希望金額(月/年間)

この理想と現実の2つのパターンを考えておきます。なぜならば、役員報酬によって社会保険などの税金や、受け取る個人の税金などを支払わなければならないためです。

最低限ほしい金額であれば、会社が儲かった時(利益が高いとき)に法人税が多くかかってきますし、「これぐらいほしい」希望金額の場合は支払ができなくなり事業を圧迫する恐れもあり、税金も高くなります。

まず、あなた(経営者)自身、役員のライフスタイルやで最低限生活に必要な金額を知っておくことから始めてください。

 

会社の売上、利益の計画から決めていく

この方法で役員報酬を決める場合は売上や利益計画がしっかりしていることが条件になります。安易にこれぐらい儲かるだろうや、絵に描いた餅のような事業計画、、支払うべき費用が見えていないケースでは会社運営の危険が伴います。

新設法人を作るときには、可能であれば個人の希望額から役員報酬を算出するようにしましょう。

 

 

4.役員報酬の金額で納税額が変わる

役員報酬で気を付けなければならないことは、法人の納税額と個人の納税額の両方の観点で見なければならないことです。

例えばですが、経営者として年間で1,500万円の役員報酬がほしいとします。その場合、会社の社会保険料も上がりますし、さらには個人の所得税が高くなってしまい、金額は上げたけども手元に残るお金が会社も個人も少なくなってしまう。という現象が起こります。

そのため、以下のいずれかの考え方で計算することをお勧めします。

  • 個人の手元にお金を残るようにしたい
  • 会社に利益(キャッシュ)を残るようにしたい
  • 個人と会社は関係なく、お金(キャッシュ)を残るようにしたい

上記の考え方をしていく必要があります。

  • 個人の手元にお金が残る役員報酬額:約126万前後/月(最大)
    (子供や配偶者などの扶養がない場合)

控除やその他の所得等で、計算方法が異なりますので、会社設立後、専門家(税理士・会計事務所)に相談することをお勧めします。

 

 

5.役員報酬の金額の注意点

役員報酬を決める場合には、いくつか注意点が存在します。1つ1つ確認をしていきましょう。役員報酬の金額を決める前に注意したいことは以下の通りです。

  • 融資の際に銀行に必ず見られる
  • 役員報酬額が高ければ、税金(社会保険料)も高い
  • 役員報酬が少なければ(0円とか)社会保険に入れない
  • 期中の値上げも損金不算入となる
  • 金額が高すぎると否認される可能性あり
  • みなし役員には注意が必要

 

融資の際に銀行に必ず見られる

運転資金などの資金需要で銀行等の金融機関に融資の希望を申し込む場合には、役員報酬の金額は見られてしまいます。例えば、役員給与が年間1,000万円と通常の会社員より高めに設定されている場合には、運転資金などの需要で銀行等は貸し渋ります。

運転資金の融資だったら、まずは経費削減(役員報酬の見直し)から行えば良いではないか?」と考えるからです。また、役員報酬を取りすぎて会社として赤字になってしまうのはもっとNGですので気を付けましょう。

すでに、設立から金融機関等に融資の考えがある場合は、役員報酬の金額には注意してください。お勧めの金額等はありませんが、生活が行える最低額に設定しておくことが無難でしょう。その場合も1期の期間は変更できないので注意が必要です。

 

役員報酬が高ければ、税金(社会保険料)も高い

役員報酬が高ければ、健康保険料と厚生年金も高くなってきます

  • 健康保険料(会社負担+個人負担)
  • 厚生年金(会社負担+個人負担)

個人と企業両方が折半で負担しますので、役員報酬が高ければ高いほど支払う金額は増えてきます。計算方法は全国健康保険協会の「都道府県毎の保険料額表」で計算することができます。

都道府県によって金額が異なります。相談する専門家は社会保険労務士がいる税理士・会計事務所、または社会保険労務士に相談するのがおすすめです。

 

役員報酬が少なければ(0円とか)社会保険に入れない

設立時期(1期目)は会社がどうなっていくか分からないため、個人で貯蓄したお金で生活をしようと考える経営者がいますが、役員報酬金額を0円などにすると、社会保険に入れない可能性があります。

その場合は、個人で国民健康保険に入る必要が出てきます。会社のお金は残りますが、個人負担が大きくなります。この場合の相談も社会保険労務士がいる税理士・会計事務所、または社会保険労務士に相談するのがおすすめです。

 

期中の値上げも損金不算入(経費に入らない)となる

「初めは役員報酬を低めに設定していたものの、期中で売上や利益が増加したために、役員の報酬を設定額より多く貰う。」ということは、可能ではありますが、損金不算入となります。つまり、経費として役員報酬を計上できません

 

12月決算の場合の例

  • 役員報酬を月20万円に設定(年間240万円)
  • 6月に月40万円貰うようにした(年間360万円)
  • 手元の役員報酬(年間360万円)
  • 損金額(経費として認められる額):240万円
  • 損金不算入(経費として認められない額):120万円

実質、120万円は経費としてみなされません。(損金不算入です。)

また、会社経営が赤字になりそうだから減額する場合も認められませんので、役員報酬金額の決定は非常に大事になります。

 

金額が高すぎると否認される可能性あり

役員報酬の金額の決定は青天井というわけではないということを覚えておきましょう。役員報酬は損金(経費)になるため、常識の範囲を超えた金額設定は税務調査で否認される恐れがあります。(あくまで常識を超えた金額ですが。)

つまり、税務署から損金としては認めないと否認されてしまう可能性があるということです。税務調査で否認された事例はあり、損金として参入できないどころか、個人として金額は受け取っているので所得税はしっかりと課税されるというケースです。

通常の設定では問題ありませんが、常識を超えた額は注意しましょう。

 

みなし役員には注意が必要

「みなし役員」は以下の場合に注意が必要です

  • 従業員に親族がいる場合
  • その親族にボーナスを支払っている場合
  • かつ、従業員に親族がいて経営に参加している場合

会社設立する場合に、夫婦や兄弟、親子などの親族を従業員(役員ではない)にするケースがあります。夫婦や兄弟などを利用してボーナスを支払い利益を調整しようという考え方です。

この場合は「みなし役員」の規定に注意が必要となります。「みなし役員」とは、従業員でも役員と「みなす」という制度です。

 

役員と「みなす」従業員とは

  • 会長、副会長、相談役、顧問などの肩書きで会社の経営に従事している場合
  • 同族会社の従業員で、株主に属しており、経営に参加している場合

基本的に経営に参加していなければ問題ありませんが、経営に参加させている場合は注意が必要です。

 

 

6.役員報酬の手続きに関して

役員報酬の手続きに関してまとめています。まずは簡単にお伝えすると以下の内容になります。

  決める期間 作成物/提出物
役員報酬 事業開始年度から3ヶ月以内 株主総会議事録
役員の賞与 株主総会から1ヶ月以内 税務署に届出が必要

 

上記の2つを押さえておきましょう。以下で詳しく説明していきます。

 

定期同額給与(役員報酬)

定期同額給与とは、毎月一定の時期に定額で支払われる給与(報酬)のことを言います。事業開始年度から3ヶ月以内に役員報酬を確定する必要があります。冒頭でお伝えした3ヶ月という期間は定期同額給与のことになります。

株主総会議事録を作成する必要があります。

 

事前確定届出給与(役員の賞与)

事前確定届出給与とは、事前に税務署に届け出をだすことで、その内容に沿って支給される給与(賞与)のことになります。賞与を貰うのにも事前に届出が必要であるということです。

株主総会から1ヶ月以内に税務署に提出する必要があります。

 

届出せずに給与を渡した場合

届出せずに給与を役員に渡した場合には、損金不算入(会社の経費として認めない)となります。定期同額給与の変更(増額等)も「変更は1事業年度に1年だけ」と決められているため損金不算入となります。

もちろん、税務署に届出をせずに給与(賞与)を渡した場合も損金不算入です。

 

期中に役員報酬は増額できないの?

役員報酬の増額は役員の職務上の地位変更や役員の職務の内容の重要度から屋も得ない場合などに期中でも認められています。正確には以下のような要件になっています。

  • 定款等の役員報酬支給限度額の枠内での支給であること
  • 臨時株主総会等の決議をする(ある)こと
  • 実質基準に基づく過大役員報酬とならないこと

上記の要件を満たすことで、増額は認められていますが、遡っての増額は不可能になります。また、役員報酬の増額は(税務署で否認されるけーすもあるため)基本的には行わない方が無難といえるでしょう。

 

期中に役員報酬は減額できないの?

「経営状況の悪化に伴なって、株主や債権者、取引先等との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じている場合」の特別に役員報酬の減額を認め、損金に算入(経費として計上)することができるとしています。

それ以外の場合はたとえ、減額でも役員報酬の変更は認められていませんので注意しましょう。

 

まとめ

役員報酬の注意点としては以下のことが上げられます。

  • 役員報酬の適正金額をしっかり決める
  • 役員報酬は期中内に変更できない
  • 役員報酬の届出は設立日から3ヶ月以内に決定する

様々なことをお伝えしましたが、適正に金額を決定して役員報酬のルールを守ることが一番大事ですね。

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